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[PR] MMORPG 任意売却 レニ・リーフェンシュタール「意志の勝利」 - ひねもすポタ暮らし

レニ・リーフェンシュタール「意志の勝利」

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都会で映画を見ることはめったにないワタクシが、はるばる「好きでもない街・渋谷」に出かけて、映画を見てきました。そのタイトルは「意志の勝利」。1934年のモノクロ映画です。

当初、レニ・リーフェンシュタールの昔の映画が劇場で公開されると知ったときには、「ああ、『オリンピア』でしょ!? あれなら見たことあるし、別にいいや~」などと勘違いしていたのですが、今回、公開されたのは「オリンピア」封切りからさかのぼること4年前に製作された「意志の勝利」。長らく上映もされていない、ナチス党大会のドキュメンタリーだったのでした。

ただの記録映画と思うことなかれ、この映画は芸術的にも高く評価され、当時、多くの賞を受賞しています。ただし、あまりにも素晴らしい映像美が災いして、ナチスのプロパガンダ映画としても大いに力を発揮してしまい、映画は長いこと封印され、レニ・リーフェンシュタール監督も映画界からほぼ抹殺されることになったのでした。

そんな「呪われた映画」が67年の封印を破って公開されるというので、とにかく見てみようと出かけたわけですよ。レニに興味をもつようになったのはダイビングをしていたころだったのですが(晩年のレニは水中写真集を発表していたのです)、それ以降、ハードカバーの自伝を購入して読んだりもしていて、一度は見たいと思っていた作品でもあったのです。

公開されていた「シアターN渋谷」は、昔「ユーロスペース」があったところ。今は1階がアニメイトで、何とも異世界な雰囲気をかもしだしております(笑)。とにかく節操のない上映作品が売りのようで、本編上映前に20分もさまざまな予告編を流されたときには、ほとんど寝そうになりましたが......。

上映前に「われわれはこの歴史を二度と繰り返してはならない」というような注意書きがわざわざ掲示されてしまうような扱いの作品なわけです。なんだか「見たらナチに洗脳されるぞ」と脅されているようで、さすがに「それはないでしょう」と反論したくもなりますが、現代の世の中であっても、映像表現で洗脳されてしまうということは珍しくはないのですね。

映像はやはり圧倒的で、素晴らしいものでした。もちろんモノクロで、音も良くないのですが、それでもカラーで見ているような印象を与えるほどインパクトがありました。ヒトラーその人はそれほど背は高くないのですが、ほとんどの場面で青空をバックに下から見上げるように撮られており、それだけで人間が大きく頼もしく見えてしまうのですね(演説にもインパクトがありますし)。

教科書や本でしか見たことのない名前の人がいきいきと映っているのにも驚かされますが、印象的だったのは沿道の一般人の表情。彼らが無邪気に熱狂するさまはヤラセでも何でもなく、ちょっとしたことで私らもこうなってしまうのだろうな......と思うと、暗澹たる気持ちになってしまいます。今の時代では、スポーツかコンサートの場でしか見られないような熱狂と興奮が、あの党大会にはあったのでした。

「演説やパレードや、どれも似たりよったりの行事をひとつの映画にまとめて観客を退屈させないようにするのはたやすいことではない。芝居をさせれば嘘になる。ついに、記録されるべきできごとを可能なかぎり多様な方法で撮影するしか解決の道はないという結論に至った」(「回想」上巻)


というわけで、彼女がとった方法は、カメラマンにローラースケートを練習させたり、行事が行なわれるあらゆる場所にレールを敷設させたり、高さ38メートルのポールにエレベーターをつけたり、ヒトラーが演説する演壇のまわりをレールで囲んだり......といったこと。これによって、戦前とは思えない、まるで特殊撮影のようなスケール感で、ただの「党大会」が撮影されることになったのです。

同じような撮影方法は後の「オリンピア」でも採用されていますが、彼女がドキュメンタリー映画に本格的に取り組んだのは「意志の勝利」が最初。もしこの映画が存在しなければ、レニの評価は今とはもっと違ったポジティブなものになっていただろうと思うと、なんともいえない気持ちになります。

映画の冒頭は、空を飛ぶ航空機からの映像で、雲の海を抜けると、党大会が行なわれるニュルンベルクの街が見えてくる......というダイナミックな構成になっているのですが、自伝にはこのオープニングをめぐって、ヒトラーと激しい口論をしたというエピソードも紹介されています。ヒトラーは映画の冒頭を、将軍や有力党員たちの紹介映像から始めたいと提案し、レニは泣きわめいてそれに対抗したというのです。

いやはや、何とエネルギッシュなレニ! 政権をとっていなかったときでさえ、側近もヒトラーを恐れて口ごたえもできなかったというのに、自分の芸術のためにヒトラーと口論したというのは彼女くらいのものでしょう。

自伝の当該箇所を読んでから見ると、より楽しめるかもしれません。8月に公開されて異例のロングランをつづけてきましたが、ついに上映は今週金曜日で終了です。興味のある方はぜひぜひ。映画好きならば、あるいは映像がもつ力について考えてみたい人であれば、必見といえるでしょう。


*残念ながら、自伝「回想」は、ハードカバー&文庫とも絶版のようです

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このページは、みいこが2009年10月 5日 17:42に書いたブログ記事です。

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