ようやく出ました、自転車青春小説の第3弾「セカンドウィンド3」。
↑文庫じゃありません!
出版されているらしいということを知ってからもなかなか入手できなかったのは、文庫本のコーナーばかりを探していたせい。前2作は文庫書き下ろしだったが、新作はソフトカバー。出版社も小学館に変わって、心機一転といったところ(前2作も小学館文庫より加筆修正されたうえで新装発刊された)。
ピュアフル文庫とのあいだに何があったのかは知らないが、川西蘭氏のブログを読むと何かしらトラブルがあって契約終了、小学館から出すことになったようだ。それに伴い、シリーズ全体の構成も当初からは変わったらしい。第3巻は、今までの「ジュヴナイル」というイメージから脱皮したものになっている。
2巻目はおもしろかったが、実のところ「?」な部分も多かった。現実離れした「南雲学院」での学園ドラマみたいな部分は、正直いって「いらないな」と思っちゃったりもしたし。でも、3巻目ではそれが一切排除されている。親会社の南雲デンキが不況で苦境に立たされ、自転車部の予算が削られたおかげで(笑)、ちゃらちゃらしたところがなくなった。徹頭徹尾の「ロードレース小説」だ。
主人公の溝口洋は高校2年で、自転車部のキャプテンになっている。実力派ぞろいだった先輩たちが引退した今、洋たちが中心となって戦っていかなくてはならない。キャプテンという大任をまかされ苦悩する洋や、友人・仲間たちの物語が、迫力あるレースの描写とともに描かれていく。前2作とはまるで違った印象で、これは「大人の小説」だ。
洋の母親に関する新しい情報や、お嬢様と幼なじみをめぐる三角関係のエピソードもあるが、とにかく445ページのほとんどが自転車レースとそれにまつわる物語。そうだ、こういうのが読みたかったんだよ!と思ってしまった。
「サクリファイス」や「エデン」にもレースシーンはあるが、あちらはなんというか「ツール・ド・フランスをTVで見ているようなレース」で、こちらは「汗と涎と鼻水を流し、もがきながら走るレース」という感じ。いやぁ、堪能いたしました。
前述のブログによれば、本作は4巻で完結で、すでに4巻目も......あ、「取材中」だそうです(笑)。またしばらく待たされそうだが、3巻目がこのクオリティであれば待つ価値は充分にありそう。加筆修正した前2作も、もしかしたら印象が変わっているかもしれないから読んでみようかな、なんて思ってしまったりするのである。4巻目では、今度こそヨーロッパが舞台になっているかもしれないね。
*おまけ*
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